テレビや新聞、インターネットなどのメディアとの接触時間の実情をさぐる
・テレビ、ラジオ、新聞、雑誌から構成される従来型4マスメディア、パソコンと携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォン双方)、さらにはタブレット型端末の利用まで含めたメディアの接触時間は週平均で396.0分/日(2018年)。
・属性別でメディアの接触時間がもっとも長いのは20代男性で472.0分/日、次いで60代男性の446.9分/日。
・15~19歳から20代まで男女とも、男性は40代に至るまで、タブレット型端末と携帯電話の利用時間の合計がテレビの視聴時間を上回っている。
年齢階層別に大きな差異が見えるメディア接触時間
世の中には情報を伝える多様なメディアが存在する。それらに人々はどの程度の時間を費やしているのだろうか。博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が2018年5月に発表した「メディア定点調査2018」(※)の公開値から確認する。
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌から構成される従来型4マスメディア、パソコンと携帯電話、さらにはタブレット型端末の利用まで含めたメディアの接触時間の総計は、 2018年では396.0分/日(週平均)との結果が出ている。昨年2017年が378.0分/日だから、増加していることになる。
また男女別・年齢階層別では、20代男性がもっとも長く472.0分の値を示している。次いで長いのは60代男性で446.9分。
全般的には男女とも中年層の時間が短めで、若年層・高齢層の時間が長めとなっている。ただし15~19歳はいくぶん短めだが、これは就学時間中はメディアに触れる機会があまり無いことによるものだろう。
若年層の時間が長いのは、携帯電話とタブレット型端末の接続時間が他の層と比べて長めなのが原因。男性はパソコンの利用時間も長く、これが女性と比べメディア接触時間の長さを後押ししている。
また前年2017年分と比べると、男性は15~19歳で短くなったもののそれ以外では伸びている、女性は50代以降で短くなる傾向がある。女性の50代以降の動きは、主に従来型メディアの利用時間が短くなったのが原因である。
これを各メディア毎の時間配分で区分すると、多様な特徴が確認できる。
・男女とも40代まで、タブレット型端末と携帯電話の利用時間の合計が長時間(100分超)。
・パソコンの利用時間は概して男性の方が長い。仕事での活用場面が多いのが原因と考えられる。
・テレビ視聴時間は男性が20代、女性では15~19歳がもっとも短い。男性は30代以降、女性は15~19歳以降大よそ年齢が上になるに連れて増えていく。また同年齢階層なら視聴時間は、男性よりも女性の方が長い。
・ラジオは男性では30代と60代で、女性は60代で長め。男性の30代はカーステレオでの利用が加算されていると考えられる。60代は余暇時間の利用対象としての聴取だろう。
・男女とも歳を重ねるに連れて、従来型4マス(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)の利用割合が増え、新メディア(パソコン、タブレット型端末、携帯電話)の利用時間が減っていく。
・15~19歳から20代まで男女とも、男性は40代に至るまで、タブレット型端末と携帯電話の利用時間の合計がテレビの視聴時間を上回っている。
・男性は15~19歳から50代まで、女性は15~19歳から40代でパソコン・タブレット型端末・携帯電話利用時間(緑系統の着色部分)がテレビ視聴時間を上回っている。
インターネットを用いる端末の利用時間が、特に若年層で長いこと、年上になるに連れてテレビの利用時間が伸びることなど、メディア系の調査結果ではお馴染みの、そして実体験からも容易に想像可能な、年齢階層間におけるメディア接触様式のギャップが改めて認識できる結果ではある。
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※メディア定点調査2018
調査方法は郵送調査方式。調査期間は2018年1月25日から2月9日。東京・大阪・愛知・高知の4地区を対象に RDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15歳から69歳の男女に対し調査票が送付され、2513通が回収された。各値は2017年の住民基本台帳を基に年齢階層・男女でのウェイトバックが実施されている。また特記無き限り記事内のデータは基本的に東京地区のもの。
過去の調査では利用機器に2014年からタブレット型端末が追加されている。2013年までは(ノート)パソコンと同一視され回答にくわえられていた可能性もあるが、2014年以降は機器として独立項目が設けられたため、以前と比べてメディア接触時間の合計が上乗せされている可能性が高い(メディア接触時間が有意で増加している)。
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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。